鉄(鉄分)について
血液の主要成分として、生命活動に欠かせない栄養素の鉄分は、日本人にとって不足がちな栄養素のひとつです。
若い世代に増加が目立つ貧血
日本の女性の約 10% 以上に貧血がみられるという調査結果があります。文部科学省は、最近の統計調査の傾向から、児童、特に女子に貧血の症状がみられ、健康上の大問題として認識されています。その原因として、鉄分不足が考えられています。貧血に対しては、鉄分を多く含んだ食事を摂り、栄養バランスを考えて毎日の食生活を整えていくことが必要になります。
女性に多い貧血は鉄分不足
貧血の原因のひとつとして考えられているのが、鉄欠乏性貧血による血色素減少です。女性は、生理によって鉄欠乏性貧血に陥りがちです。そして、思春期のように急速な成長期には、鉄分の必要量が増え、貧血を起こしやすくなります。
女子に貧血が多いことには、普段の食事で十分に鉄分を摂取できないことに加え、思春期になり初潮を迎えることによって、深刻な鉄分不足を引き起こし、貧血になってしまいます。
鉄分と血液の密接した関係
鉄は、血液と非常に深い関わりを持っています。
体内で消費される鉄の 50% 近くは、血液中の「ヘモグロビン」の原料となります。ヘモグロビンは、生命活動に必要な酸素を肺から全身の末端まで運ぶ役割を担っている赤血球の成分です。また、酸素を運ぶ他に、細胞の活動で生じた炭酸ガスを肺へ送り、血液の鮮度を保つ役割も果たしています。
鉄分の2種類の役割
ヘモグロビンの原料とならない鉄は、肝臓や筋肉、肝臓、脾臓、血清中に蓄えられます。それらの鉄分の役割は、2種類あります。
血清鉄
血清鉄は、呼吸で取り入れられた酸素はヘモグロビンと結合して全身に送られ、ミオグロビンが酸素を受け取って筋肉を動かし、細胞では鉄を構成成分とする酵素が酸素を活性化してエネルギーの産出を助けます。
貯蔵鉄
肝臓などに蓄えられた鉄を、貯蔵鉄と呼びます。血清鉄が不足すると、貯蔵鉄が使われて、不足している血清鉄を補います。
鉄分不足の貧血が発生する流れ
貧血は貯蔵鉄が底をついて、初めて症状を表します。症状がなくても、血清鉄が不足している存在性鉄欠乏であることは非常に多いです。
赤血球は毎日120分の1ぐらいずつ分解され、新しい赤血球と置き換わりますが、その生成に必要な鉄は1日に約 20mg です。鉄は再利用され、尿中に分泌されて失われるのは約 1mg。毎日 1mg 摂取すればよいわけですが、腸での吸収率を考えて鉄の所要量は定められています。
最近注目され始めたヘム鉄
鉄分はもともと吸収率が悪く、摂取した 5% から 40% ほどしか体内に摂取できません。5% から 40% という吸収率はあまり幅が大きすぎる理由は、鉄分には2種類の鉄分があるためです。
ヘム鉄
ヘムは窒素化合物の一種で「人間」及び「動物」の 肝臓内にあり、これと鉄分が結合し合成された物質を指します。そのため人間の体内や、肉類などの動物性食品にだけ含まれるのが特徴です。
非ヘム鉄
ヘムと結合していない鉄分を指します。これは植物性食品に含まれる鉄分を指し、非ヘム鉄と呼ばれています。
ヘム鉄と非ヘム鉄は、どちらも体内に吸収されてしまえば、肝臓内でヘムと結合し、ヘム鉄に変化します。
ヘム鉄と非ヘム鉄の大きな違い
ヘム鉄の場合、小腸にヘム鉄専用の吸収口があり、比較的簡単に体内へ吸収されます。それに対し、非ヘム鉄は、この入口から吸収することが出来ません。つまり、非ヘム鉄は吸収されにくい鉄分です。非ヘム鉄の吸収率はわずか 5% 程に対し、ヘム鉄は 20% から 40% 程の吸収されます。つまり、同じ量の鉄分を摂取したとしても、食材によって、鉄分の吸収率は大きく違います。
鉄分摂取時の注意
鉄分は多量に摂取すると、中毒症状を引き起こします。1日 25mg 以上を長期に渡り摂取し続けると、疼痛(とうつう:ずきずきとうずくように痛むこと)や嘔吐、下痢やショック状態などの中毒症状が現れます。
鉄分の所要量は成人男子で1日 10mg、女性は月経によって1日 0.5mg から 1mg を余分に消費するため、不足がちになります。そのため、女性は男性よりも多い 12mg の所要量となっっています。ビタミンCやプルーンとともに摂取すると、吸収率を改善できます。
女性は鉄分の摂取量に気を付けるべき
女性は、男性よりも必要とされる1日の鉄の量が多いです。普段の食事ではなかなか摂れない上に、貧血などで体調を崩すことは、日常生活に支障があることが多いと思われます。
また、ダイエットをする際に大切な基礎代謝を高められる筋肉の運動を活発にしてくれる等、積極的な健康管理に必要なミネラル分です。
これを機会に、鉄の摂取を見直してみるのもいいと思われます。